転職と採用の専門家naotoの部屋

企業での人事採用経験と人材紹介会社での経験談を綴ります

内定フェーズで考えるコト

こんにちは、naotoです。

 

内定が出た!嬉しい!でも本当にこの会社に決めていいの!?

 

内定フェーズは転職活動において最大に悩むポイントです。最初から志望意欲が最も高く、その意欲が継続されてきて内定をもらえたなら、悩みも少ないでしょう。しかし、複数社から内定が出た、第二志望、第三志望の会社から内定が出たとしたら、何を基準に決めればいいのでしょうか?

そんな悩みを少しでも解決できるよう、記事に綴ります。

 

introduction

内定承諾までは、可逆的に後戻りすることができます。つまり、いつでも応募企業は選べるし、変えられるし、保留にできるし、転職活動そのものを止めるという決断もできます。しかし、内定承諾→現職へ退職届けを出す、ということは、不可逆的で後戻りできなくなります。離職の方であれば、内定承諾後に辞退、つまり入社するのを止めることもできなくはありません。ただし、それは受け入れ先企業からすると多少の損失を伴うことになりますので、裁判沙汰になる危険性も含めて、そうしないに越したことはありません。まずは、これらのことを認識しましょう。

内定の意義と解釈

内定って何でしょう?「あなたを採用します」という意志表明でしょうか?かなり一般的に普及している言葉ですが、採用責任者の立場からすると、かなり危うい状態という認識です。

転職希望者側からすると、2~3社から内定をもらって比較検討する、というのが一般的で理想的な転職活動の方法として定着していることでしょう。仮に1社から内定をもらった場合でも、それを受諾するのか断わるのか、決断を迫られるわけですが、選択権は皆さんにある、そう思うとやっと気が楽になりますね。

採用企業側は、然るべき社内の承認ルートを経て、あなたに内定を出すことを決めるわけです。採用担当者の中には、何が何でも承諾させなさい、と他部署や上司からプレッシャーをかけられている人もいるかもしれません。是が非でも採用したい候補者に承諾してもらうために、オファー面談を組んだり、時には条件交渉にも応じたり、してくれるかもしれません。

内定には「あなたを採用したい」という意志表明以上の内容を伴います。

ネットからの引用になりますが、内定とは、法的には「始期付解約権留保付」で労働契約が成立した状態を言います。「始期付」とは実際に働き始めるのは先であること、「解約権留保付」とは内定取り消し、つまり労働契約の解約がありうるという留保をつけた上での契約であることを意味します。内定を出した時点で、条件付きで「労働契約が成立」するわけです。こうなると、その後に起きるいかなる事象であれ安易に内定を取り消すことはできず、しかし内定を辞退される可能性は十分にある、という状態で、企業の採用担当者は内定承諾してもらうまでソワソワが続きます。

 

内定取り消し

内定したら必ず採用されるわけではなく、一定の条件の下では取り消しになる可能性もあります。「解約権留保付」に該当する部分です。

では、どういう時に取り消されるのでしょうか。

主に下記の事由です。

病気やケガなどの健康上の理由により働けない状態になった場合

犯罪行為があった場合

企業の業績悪化など経営上やむを得ない場合

・その他、採用内定を取り消すことが客観的に合理的と認められ社会通念上相当として認められる場合

といったものが挙げられます。

企業側の意志で内定を出したにも関わらず、上記の理由も無く一方的に内定を取り消すことはできません。もし、不当に取り消された場合は、労働基準監督署や弁護士に相談すると良いでしょう。過去には、裁判によって内定取り消しは違法・無効である、と認められたケースがあります。慰謝料・損害賠償の支払いを企業側に命じられたケースもあります。

と、ここまでは記事でも良く見ます。

では、その後どうなるでしょうか?

内定取り消しが違法で無効だと裁判で認められたとしましょう。では、あなたはそれでもその会社に入りたいと思うでしょうか?しかも、費用と時間もそれなりにかかります。そこまでして、本当にその会社に入りたいでしょうか。損害賠償請求が叶ったとしても、人生と天秤にかけたときにどの程度有益なのでしょうか。もし恨んでいたとしたら少しはその思いは晴れるかもしれませんが、その後に何が残るでしょうか。そう考えると、企業に全面的に非があったとしても虚しいですね。前を向いてポジティブ思考になれると良いですが。。。

 

転職によって失うものと得られるもの

転職活動中は、将来への期待や現職を辞めることへの不安を抱えながら、それでも前進していたことだと思いますが、内定が出て初めて、真剣に現実と向き合うことになります。転職によって得られるものもあれば、失うものもあります。整理してみましょう。

収入

内定が通知されるとき、多くは理論年収いくら、という表記があります。これは、1年間フルで業務に従事した前提で賞与なども組み込まれています。賞与は、言うまでもなく未確定であることが多いです。また残業についても、だいたい月間20時間くらいの残業を想定していても実質は残業ゼロに近い、といのもしばしばあります。

残業が無いことは良いことですが、残業代をあてにしている方も多くいるため、考え方は人それぞれです。

住宅関連の補助や、非課税対象の福利厚生などがある場合も、実質的に自由に使えるお金は異なってくることを頭に入れておきましょう。

内定時の記載と基本給が異なることはありませんが、トータルの収入は内定通知書に記載されている理論年収より若干少なくなることを想定しておく方が良いでしょう。

それでも、現職と比較した時に明らかに増えるのであれば、ポジティブですね。

時間

次の会社では、平均的にどのくらいの時間働かなければならないか、事前に聞いていた話と実は違った、ということが良くあります。

残業はほぼ無いと聞いていたのに残業だらけ。朝の業務前に業務外という業務が発生する、休日に仕事が発生する、などです。他の条件は良かったが、まさか帰宅が毎日終電間際になるとは思わなかった、という声を時々聞きます。

逆もあります。先ほどの「収入」のところでも触れましたが、残業は想定していたのに、ほとんどゼロ時間だったり、フレックス制が本当にしっかり活用されていて、予想以上に快適に過ごせ、プライベートの時間を多く作れるようになる、といったようなケースです。

人間関係

実際に配属される部署の上司・同僚との関係性、クライアントや社内の他部署との関係性など、ゼロから作っていくことになります。これまでの会社では人間関係がとても上手くいっていたのに、新しい組織では価値観が異なって浮いてしまっている、という話をたまに聞きます。逆に、これまでの組織では人間関係に不満があったのが、転職で上手く解消されるというケースです。社風というのは、少なからず従業員の価値観の醸成に寄与していますね。

人間関係構築スキルというのは横に置いておいて、やはらどんな人間たちと関わるかというは運の要素も大きいでしょう。数回の面接で感じた面接官の言葉や印象すべてから感じ取ることが重要です。内定フェーズでは、他の社員の方から話を聞いてみたい、と提案してみるのも一つの手です。口コミサイトは、あまりに意見が偏っているケースがありそうなので、参考程度にする方が良いかもしれません。

人間関係と言えば、新しい出会いというのもありますね。自分の成長に繋がる出会いがあり、人生の財産にもなり得ます。これは転職することで得られる圧倒的なコトかもしれません。

業務スキル

これまでのスキルが全く活かせないかもしれません。スキル十分と意気揚々と臨んだのに、業界や会社ぎが変わると全く通用せず挫折を味わう、ということも良くあります。しかし、一方で新しいスキルも身につくはずです。初めて取り組むこと、できなかった事ができるようになること、新たな感動に出会うこと、成長の可能性が大きいことも事実です。

 特に、PCスキルはどんな職種でも必要ですが、業界や会社によっては恒常的にPCを使わないという方もいるでしょう。次の会社では当たり前のレベルが高く、これくらいできて普通というのを何の違和感も無く要求され、それができずに評価が下がったり残業が増えてしまったりすることがあります。身に着けておくことに越したことは無いでしょう。

 

複数社からの内定

複数社から内定をもらうことは良いことですが、判断を鈍らせてしまう弊害もあることを知っておきましょう。

複数内定もらって比較する、となった場合、どうしても心理心情的に目先の年収を比較してしまいます。さて、ここで一度冷静になって、転職活動を始めた時に立ち返ってください。転職理由は、年収を上げたいことでしたか?それなら、年収で比較するのはアリです。しかし、それ以外のことが転職理由なのであれば、もう一度原点に戻り、転職理由が成立する条件を第一優先として比較検討し、年収は二の次にするべきです。そうしなれば、入社した後に大きな後悔をすることになります。私はこれまでにこのような多くの方を見てきました。

1回の転職で叶えることは1つ、2つ以上叶えばそれはラッキー、くらいで考えましょう。内定は、本当に判断を鈍らせます。肝に銘じて、複数社の内定を比較してください。

第二志望の企業からの内定

第一志望の会社の選考はまだ残っているものの、選考に時間がかかりそう、保留の状態が続いている、第二志望の企業からの内定の回答期限が迫っている、ということもあります。承諾するか辞退するか、非常に悩ましいでしょう。

辞退して第一志望に賭け、第一志望も結局内定がもらえなかったとして、まあいっか、また別の企業を探そう、と思えそうなら、第二志望の企業を承諾しましょう。第一志望の会社を受け切らないと一生後悔する、という強い意志があれば、断わりましょう。

以前の記事にも書きましたが、ベストな転職かどうかは入社してからしかわからないので、内定承諾時にはベターで可、というのが鉄板の考え方になります。

 

 

まとめ

 転職活動において、もっとも重要なフェーズです。慎重になる気持ちは良くわかります。しかし「内定を承諾します」、この一歩が、自分の手で人生をより素晴らしいものに変える決断になると信じています。

 

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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